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(第30話)どこまでもアホな奴ら

ダナン空港に着くと、リーダーのユンさんとアカウンターのアンさん、そして
4月に病気のために退社した元リーダーのカーンさんが花束を持って私と田中
君を迎えに来てくれていました。

 「やあ、やあ、カーン!久しぶり!」

「社長!お久しぶりです。 お元気でしたか!?」

「私は、すっかり元気になりました!」

「ここが手術の跡です。」

カーンは、喉の病気ということでリタイアすることになってしまったのですが
彼女の喉にはくっきりと痛々しい手術の傷跡が残っていました。

彼女は、退院の後職探しをしていたが良い就職先がなく、現在はアルバイトで
日本語学校の先生をしているという噂を聞いていました。

弊社には夜勤があるため、彼女の母親は夜勤業務が彼女の体調を悪くさせた
という思い込みがあり、彼女の復帰を許さず、結局、カーンは会社を退社せざ
るを得なかったとも聞いていました。

 「今、何やってるの?」

「何もしていません。 家事手伝いです。」

使えるリーダー不足に苦しんでいる私としては、思わず・・、

「そうか!じゃウチへ戻りなよ!」と言ってしまいそうになりましたが、一旦
退社した社員の復帰を認め、しかも夜勤をしないリーダーもあり!ということ
となると一挙にモラルの崩壊が深刻な問題となるため、そこはぐっと堪えて、

 「今日は、わざわざありがとう!」

 「カーンの元気そうな顔を見られて嬉しかったよ!」

といって笑顔のまま彼女達と別れました。

翌日、「彼は、本当に会社を辞めました。」とユンから報告を受けていた
トゥン君からの連絡が入りました。

「社長。 会って話をしたいです。 時間はありますか?」

その日は、午後から岐阜県のミッションがダナン入りし、二日間同行すること
になっていましたので、午前のうちにアカウンターと供に銀行へ行くことに
していました。

 「今日も、明日もスケジュールが一杯で時間が取れないね~。」

 「だけど、今から銀行へ行くから銀行のロビーでよければ話を聞こうか。」

 「どうせまた、銀行はもたもた時間がかかるから、充分話をすることは
  できると思うよ。」

「わたしは、今すぐ銀行へ行きます!」

銀行へ着くと、既にトゥン君は来ていました。

トゥン君の話というのは、

1.リーダーのユンは、全くトゥン君のいうことを聞かない。
2.ユンは管理者として厳しすぎて、もう何人もクビにしてしまった。
3.クビになった社員の中には、優秀な社員?もいたし辞めたくなかった社員
 もいた。
4.現在、ユンとは一緒に仕事をしたくないと思っている社員もいる。
5.日本人の管理者を置いて欲しい。
6.アカウンターの給料をもっと上げてやってほしい。
7.そして、自分は、月間3,200,000VNDを保証してもらえれば会社に残る。
というものでした。

私の勘ぐりとしては・・・、

ユンとの比較において、日本語力も、リーダーの技量という点でも実力不足の
トゥン君は、ユンの担当時に比べてトラブルやミスが多いため、日本側担当者から
しばしば叱責を受け、「ストレスが原因で病気になりました。」などと訴えて
いたように、同じリーダー職とはいえ、会社内でも日本側との関係においても
ユンとは明らかな実力差がついてしまっていました。

その上、病気療養を含めて長期の戦線離脱をしていたため、もはや会社内に
おける次期社長候補をめぐるリーダー間競争では完全に敗け組となってしまっ
た感があります。

長期戦線離脱の間、彼が当然行っていたであろう就職活動では、おそらく月間
3,000,000VND程度の金額提示を受けていたであろうことから、それを上回る
金額の月間3,200,000VND程度が確保できて、更に、会社に復帰する際、ユンが
仕切っている元では居心地が悪いので、願わくば日本人管理者の元、ユンと
対等の立場で業務にあたりたいと考えたのではないかという話のシナリオを
想定してみました。

ただ、アカウンターの給与までを心配しているのは彼のやさしさでしょうか。

私は、

1.仕事は厳しくて当然である。
2.我々は、インドや中国との競争を戦っていることを忘れてはならない。
3.会社全体の生産性を上げるためには、時にはリーダーの判断で、
  「泣いて馬謖を斬る」ジャッジも必要なのである。
4.現在のところ、日本人管理者を置く考えはない。
5.アカウンターの給与は検討する。
6.そして、トゥン君は、謂わば自己都合により長期戦線離脱していたので
  あるから、9月のリーダー昇給対象には該当しない。
  しかし、復帰後3ヶ月後の成果を鑑みて来年1月より3,500,000VNDにする
  用意はある。
と言う旨を伝えました。

「考えます・・。」

との返事を残した彼と別れましたが、私としてはすでに、
「もはや、これ以上彼に期待する気はない。」
という判断をしていました。

翌々日、土曜日の全体社員会議が終わった後・・・、

今度は、リーダー見習いのテン君が、
「私の給料を上げてほしい・・。」
といって私のところへやってきました。

現在のテン君の給与水準は、ユンよりは安いもののやり手のサブリーダーより
も高い水準を支給しています。

彼は、トゥン君のいない間リーダー職に従事していましたが、毎日のように
イージーミスによるトラブルを引き起こすため、日本側の顧客担当の田中君は
テン君の尻ぬぐい役となって「すみません!すみません!すみません!」を
連発するのが日課になってしまっています。

そのため、テン君用リーダー職務分掌を設定し、業務改善点と合格ラインを
明示した上で、顧客担当田中君の判断で、合格点に達したとお墨付きをもらえ
れば、晴れて「リーダー合格!」ということで大幅に昇給するという事にして
いました。

にもかかわらず・・、

「私の希望としては、基本給は・・・、職務手当は・・・・。」
などと次々と、都合のいい要求ばかりをしてくるので、改めてテン君の現状
の働きぶりは・・・、業務改善点は・・・、と、縷々説明し、早く合格点に達
するよう促しました。

すると、テン君が言うには、

「来週から、二週間ほど田舎に帰ってきたいです。」

「休みをいただいていいですか。」

「もし、給料が上がらないのなら・・、 戻らないかもしれません・・・。」

 「!!!!!」

 「そう・・・・。 じゃ、勝手にすれば・・・・・。」

その時、既に私は、「リーダーは、ユン一人でいい!」

現在4名いるサブリーダーがユンの替わりを務めることが出来るよう、今後、
業務指示は全て英語で行う事に決めていました。

会社の現況と今後のビジョンについて・・、

会社が如何に利益を生み出しやすい体制になっているかについて・・・、

リーダーの踏ん張りが、如何に社員全員の利益に繋がるかについて・・・、

そして、彼らにとって、現在のポジションが如何に素晴らしい棚ぼたのチャン
スであるかについて・・、

どれだけ、どれだけ、どれだけ、どれだけ、心を尽くして説明しても・・、
目先のことしか、自分のことしか考えられない、思考を巡らすことの出来ない
アホ達とは、もう、一緒に仕事をすることはおろか話もメールもしたくない
気分になってしまっていました。

 「3日後・・・・。」

今日は既に! サブリーダーと田中君、英語で業務連絡を行っています。

「社長!」

「全然問題ないですね!」

 「時おり・・、上手にサブリーダーを誉めてやってくれよ。」

「はい! そうですね!!」

日本語コミュニケーションにこだわらず、

何故、もっと早く英語化に取り組まなかったのでしょう・・・ね。

(Mr.ホー)
 

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