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(第37話) 労働組合設立記念式典

ベトナムの法律では、ベトナムのすべての会社は労働組合を作らなければなら
ないことになっています。

労働組合は、労働者が勝手に作るものであって会社が準備する筋合いのもの
ではないと思うのですが、会社は組合を作り、おまけに上部組織に対しての
上納金まで会社負担で支払わなければならないなどと聞かされるに至って、

「ざけんなよ!」気分が高まってまいります。

私は、その「ざけんなよ!」気分のまま、組合を作ることについては放ったら
かしにしておいたのですが、丁度昨年の出張時に、ベトナム共産党の組合関係
者と思しき人が2名来社され、ユンに対して縷々、組合設立の手続きについて
指導をしていかれたのでした。

先日、ユンから
「社長!21日は午後二時より労働組合設立記念式典を行いますのでスピーチ
をお願いします。」との連絡がありました。

 「いいよ、何を話せばいいんだい・・?」

「・・・・・・・。」

 「わかった、その場の雰囲気で何か話すよ・・。」

と答えつつ・・、労資協調路線ネタで行こうかな・・?
などと考えていました。

当日、社員たちは昼前から仕事そっちのけで廊下を行ったり来たり、ワイワイ
ワイワイ! ガヤガヤガヤガヤ!と全く落ち着きません。

西本君は、サブリーダーに今回の課題を仕上げるべく根詰めて指導をしようと
勇んでやってきていましたが、あまりの落ち着きのなさにお手上げ状態です。

時間になると司会役のフン君が、
「準備ができましたので、社長!会場へ来てください・・・。」
みたいなことを言いながら迎えに来ました。

会場へ入ると、
青色幕に・・、ベトナム社会主義民主共和国万歳!というタイトルがでかでか
と貼り付けてあり、その下左手にベトナム国旗、その右手にベトナム大六有限
責任会社労働組合設立!の表示と労働組合のロゴマークが貼りつけられていま
した。

更に、青色幕の前方には青布がかかったテーブルに、ホー・チ・ミンの石膏像
と花が恭しく飾られています。

司会役のフン君は、かなり緊張した面もちで、アジェンダーの書かれたレジメ
を片手に進行してまいります。

最初にダナン市労働組合設立推進室?かどうかはよくわかりませんが、おそ
らく、そのような組織から来たのであろうと思われるおじさんが、お祝いの
言葉(たぶん)を述べられました。

お祝いの言葉がすむと、いきなり!

司会のフン君が私にスピーチすることを促しました。

 「えっ!いきなりかい!」

と思いつつも、通訳のユンが訳しやすいようにできるだけ平易な表現を心がけ
てワンセンテンスづつに区切りながら話すことにしました。

「本日は、労働組合設立式典のご盛会 誠におめでとうございます!

 我が、日本国はおよそ70年前、大きな戦争を引き起こしました。
 そのため、日本の主要都市は廃墟と化しすべてを失ってしまいました。
 しかし、戦後、その焼け野原の中から立ち上がり、今日世界第二位の経済
 大国となり得た大きな要因の一つとして、経営者と労働者が対立しあうだけ
 ではない労使間の協調路線にあったということができるでしょう。

 経営者とそこに働く人たちが同じ目的に向かって歩むことは、必ずや企業に
 とっても社員にとっても、その家族にとっても、ひいてはこの国にとっても
 大きな利益をもたらすことになります。

 ベトナム大六におけるライバルは、中国企業・インド企業であります。
 私たちは、共通の目的を持って同じ方向に歩んでいくことができれば、
 必ずやライバルに打ち勝つことができるでしょう。

 アメリカ発の金融危機は現在、全世界を不況の渦に巻き込んでいます。
 しかしながら、私たちにとって今は逆にチャンスであるといえます。
 なぜならば、不況時にはあらゆる企業がコストダウンをはかろうとします。
 その時我々が、より低コストで、より素早く、よりよい品質のサービスを
 提供し続けていくことはクライアントに強く必要とされることに
 つながるからです。

 我々は、ベトナム大六労働組合の設立をよい機会として、
 先人の知恵に学び、今までよりも更に互いを信頼し合って、
 ベトナム大六というささやかなステージをより良く、より大きく、
 より素晴らしいステージにするべく頑張ってまいりましょう。

 本日は、誠におめでとうございます!」

戦争ネタのあたりでは「何を話し出すのだ!?」みたいな顔で聞いていた
ダナン市労働組合設立推進室?から来ていたおじさんとおばさんも、やたら
嬉しそうにニコニコしながら拍手をしてくれ、握手を求めてきましたので、
取りあえず、言いたいことは伝わったようでした。

その後、ベトナム大六労働組合書記長?及び委員長?および副書記長?なのか
どうなのか?リーダーのユンをはじめとする5名の社員に対し労働組合バッジ
の授与式があり、握手のおばさんが一人一人にバッジを付けました。

そして次には、握手のおばさんがながながとスピーチを始めました。

最初は、ユンが私の横で通訳をしてくれていましたが、あまりにスピーチが長
いのとセンテンスを区切らずに延々と話し続けるのでユンは途中で通訳を断念
してしまいました。

式典のすべてが終わると、ダナン市労働組合設立推進室?から来ていたおじさ
んとおばさんは、何度も握手を求めてきたあげく、すこぶるご機嫌良さそうに
手を振りながら帰って行かれました。

私には、式典の内容はほとんど・・、いや、全く理解できませんでした。

会議室の床には、社員たちが食べ散らかした煎ったスイカの種のようなものの
皮があちらこちらに散乱していました。

「おい!みんなでちゃんと隅々まで掃除しとけよ!」

「労働組合の最初の仕事だぞ!」

「完璧にやっとかないと、あとで村長に、ど!叱りつけられるぞ!」

(Mr.ホー)

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